乾物ひものは、YouTubeなどを中心に活動する福井県育ちのVTuberであり、超高クオリティLIVE2Dモデラーとしてもその名を轟かせている。


モデリングを担当したVTuberは、まふまふ、kson総長、まこと、ちのぴろ、キルシュトルテ、歌衣メイカ 犬山たまき、ホロライブ所属VTuber、他多数と枚挙にいとまがない。本稿執筆時点でYouTube登録者数19.7万人、Xフォロワー数9.6万人を誇る。


VTuber活動開始以前には「ひもの@」名義にてニコニコ動画でゲーム実況配信を行っていたが、2017年頃に”VTuber”が世に現れ始めたころ「自分もVTuberになりたい!」と思うようになり、2018年にVTuberとしての活動を開始した。

彼女のVTuberデビュー当時はまだVTuberというジャンルが浸透しておらず、”VTuberの始め方”や”VTuber活動のTips”も皆無に近かった。


そんな中手探りで準備を始めた彼女であるが、イラストレータとしての経験を活かした自身のデザインに加え、全く知識ナシでゼロからLIVE2Dのセルフモデリングまで行ってしまったというのだから驚きだ。


便利ツールが多数リリースされている昨今とは違い、当時はVTuberデザイン向け便利アプリなども少なくノウハウも公開されていなかった。完全独学な制作だったこともあり、最初のモデルはとても低クオリティであったそうだ。


こだわり屋でクリエイター気質な彼女はこの結果に満足せず、より良いモデルを作りあげるために研究を重ねそのモデリング技術を着実に上げていった。そして2019年、VTuber歌衣イツミのLIVE2Dモデリングを担当し初めて”パパ”となることでモデラーとして本格的にモデラー乾物ひものが目覚めることとなる。


このモデリングが好評を得て、自身のVTuberとしての活動と並行しモデラー活動を行うようになった。その一環でLIVE2Dの技術をシェアする動画や配信を公開するようになり、それがさらなる好評を得ることとなる。


彼女のTipsは非常に実践的で具体的かつ分かりやすく、現在進行系で多くのクリエイターやそのたまごに大きな影響を与え続けている。


VTuberの活動に切っても切れない重要な要素であるLIVE2Dモデル。その製作技術を伝え業界を活性化させ続ける乾物ひものは、VTuber史を語る上で絶対に欠かせない”歴史の一部”と言えるであろう。


そんな”偉大”な彼女であるが、そのキャラクターはそれを全く感じさせない(?)親しみやすいものとなっている。リスナーたちと気さくに会話を交わす彼女の配信は老若男女初見常連問わずどなたでも気軽に参加しやすい空気感を持っており、雑談の雰囲気の良さと楽しさは特筆に値する。


かつてメインでやっていたゲーム実況もとても楽しく、マイクラがホラーゲームに見えてしまうその強烈なリアクションは必見。デザインセンスと明るいトークを活かしたお絵描き雑談もファン人気が非常に高い。


仲の良い友達や近所の明るくて優しいお姉さんの家に遊びに行くような感覚で気軽にリラックスして視聴することができるので、仕事や学業で疲れてしまった時の息抜きとしても極めて癒し効果が高い。


現在はモデラー業に専念しておりVTuber活動は休止中の彼女だが、”VTuber乾物ひもの”としての活動再開も渇望される。




1. 【Live2DWIP】Evolution of Live2D Hand Tracking👐



2022年に公開されたモデリング動画で、公開当時の最新ハンドトラッキング技術を用いたモデルと過去のモデルを比較する内容となっている。


「LIVE2Dモデルなんて全部同じなんじゃないの?」と思っている方にもぜひ御覧いただきたい、日進月歩を感じることのできる動画である。過去モデルがどこか直線的で人形的な動きであるのに対し、2022モデルは非常に滑らかで自然な人間的動きであることが良く分かる。特に関節の動作が非常にスムーズでナチュラルだ。


「手にも表情があるんだな」と気づかせてくれるのと同時に、「手の動きが生き生きとしていることで顔の表情やモデル全体も生き生き明るく見えるんだ」という新たな発見をさせてくれる。(表情などのモデリング技術進化による部分もあるとは思うが)


また、各モーションが”切り替わる瞬間”が分からないようにも進化しており、「あ、今違うモーションになったんだな」というメタ要素を感じさせない様に進化しているのも大きな特徴。


こういったモデリングのこだわりが画面の向こうにいるVTuberの表情や感情をより鮮明伝え、より近くによりリアルに感じさせてくれるための大切な要素なんだ……わずか51秒でそう確信させてくれる作品となっている。


まさに「二次元と三次元の壁を取り払ってシームレスにする技術」である。



2. 「超高可動域×ハンドトラッキング」Live2Dの限界に挑戦するVTuber用モデル



本稿執筆時点での乾物ひもの最新モデルのパイロットムービー。超高可動域と繊細なハンドトラッキングを組み合わせ、驚くほどスムーズでリアルな動作を実現した本モデルを余すことなく堪能できる作品である。


所謂ティーザーPV的な「デザインを見せる」という要素だけではなく、実際にモデリングソフトの画面を映し設定や調整方法、制作のポイントなどを赤裸々にざっくばらんに公開しており、彼女のファンだけではなく世界中のモデラーにとっても宝の山のような動画となっている。


「より自然で違和感のない動きを実現するため各部位ごとに別々のパラメータを設定し少し遅延を入れて連動させている」とのことで、非常に複雑な物理演算が組まれている。


さらには”顔以外も真横向きにできる”という衝撃的な要素も加わり、言われなければ「これ3Dだよね?」と思ってしまう方が多いのではないだろうか。かといってただ”3Dっぽい”という域で終わっているわけではない。


2Dでしか出せない明るさ、表情の豊かさ、可愛さ、親しみやすさと、3D(風)ならではのリアルさ、情報量の多さなど双方のメリットを最適なバランスでブレンドしいいとこ取りしている……それが”made by 乾物ひもの”なのだ。


昨今の技術発展により「2Dはより3D的に」「3Dはより2D的に」という流れが様々な業界で見えているが、本モデルは現時点で彼女が出したひとつの答えであると言えるだろう。


3. 【ASMR】最高に美味しい美浜・若狭のグルメを食べつくす! #福井県若狭町 #福井県美浜町 #三方五湖ごはんBOOK #咀嚼音



福井県で育った乾物ひものが福井県の素晴らしさをPRする動画。


ここまで紹介した2つの動画は”モデラー乾物ひもの”としての要素が色濃い動画であったが、本動画シリーズは”VTuber乾物ひもの”としてのパーソナリティがより強く映し出された作品となっている。


その内容は同県内の「若狭町」「美浜町」の魅力をグルメ中心で伝えるもので、彼女初のASMR要素を多く含んだ動画である。冒頭では若狭町の飲食店「ドライブインやまだ」の名物ソースカツ丼についてレポートしているが、なんと調理場での衣を揚げる音やタレに浸す音まで収録されている。


調理中の映像やできたての映像とも相まって非常に胃袋が刺激され、さらにそこからの乾物ひものの咀嚼音。この動画を見た直後に「○○町 ソースカツ丼」と自身の近隣のソースカツ丼店を検索してしまった方も多いのではないか。


動画内では同じく若狭町のうなぎ料理専門店「うなぎや源与門」や、焼き立てのパン屋揚げたてのエビフライを味わえる美浜町のカフェ「喫茶ブリックハウス」にも足を運び、その美味を余す所なく伝えている。


どれも物凄くお腹の空く幸せ映像ばかりなので、ある意味”閲覧注意!”かもしれない……!?


本作品のもう一つの大きな特徴は「乾物ひものがそこにいること」である。若狭町及び美浜町に。ドライブインやまだや源与門、あるいはブリックハウスのあの座席に。乾物ひものが着席し美味しそうに食事しているのである。


街中にVTuberがいる映像は他にもたくさんあるが、ここまで自然に”そこにいる”と感じさせてくれる作品にはそうそうお目にかかれない。当たり前に、一切の壁を感じさせずそこに存在しているのである。


これほどリアルとの齟齬を全く感じさないシームレスな作品を実現できたのも、超高クオリティのLIVE2Dモデルであるが故であろう。グルメを堪能できるだけでなく、2D及びVTuberの限りない可能性をも感じさせてくれる一粒で2度(3食あるので4度かもしれない)美味しい動画だ。


なお、福井PRシリーズとして本稿執筆時点で4本の動画が公開されており、他の3本も非常に見所の多い作品となっている。福井の名産、名所、食、景色をこれでもかというくらい堪能でき、すぐにでも福井に足を運びたくなること請け合いだ。


特に「夫婦でデートしてきた!」という若狭町熊川宿での旅レポ動画はオススメである。熊川宿の魅力を堪能できると同時に、他の動画や配信では見ることのできない乾物ひものの一面に触れることもできる内容となっている。


福井を知る意味でも乾物ひものを知る意味でも必見だ。



続いて、乾物ひものに今後の活動について語ってもらった。


「今はモデラーとしてのお仕事が忙しすぎてVTuber活動は休止中なのですが、いずれ復帰して楽しいこと沢山やりたいと思ってます!実は先日Xで近況報告ポストをしたのですが、思った以上に反響や応援の声を頂きまして……言葉であらわせないくらいとっても嬉しかったです!VTuberとしての私を待ってくださる方、楽しみにしてくださる方に早く良いお知らせができればいいなと思っています。復帰後はLive2Dの講座動画を再開したり、大好きなゲーム実況を思う存分やったり、ファンの方やVTuberの方と配信を通して一緒に遊んだり色々したいと思います。人見知りなので今まであまり他の方と交流してこれなかったのですが、一歩踏み出して積極的に色々な方と触れ合っていきたいですね。人の繋がりを大事にしたい!末永く活動を続けて、いつでもそこにあるみんなの憩いの場、息抜きの場になれたら良いなと思ってます。実家のような安心感のあるチャンネルにできたら良いですね(笑)」

モデラーとしてのますますの活躍だけに留まらず、VTuberとしての活動も末永く続けていきたいという彼女。
「オススメのモデラー」として名前が挙がるのと同じくらい「オススメのVTuber」として乾物ひものの名前を聞く機会が今以上に増えそうだ。
読者の皆様、彼女に実況して欲しいゲーム作品をリクエストする準備はできているだろうか?


最後に、乾物ひものから頂いた読者へのメッセージを紹介したい。


「待っててくれてありがとう!そして寂しい思いをさせてしまってごめんね。活動内容が紆余曲折あったので色んな入りのファンの方がいると思うけど、どんな活動をしても”乾物ひものそのもの”を応援してくださって本当に嬉しいです!もう少し時間かかるかもしれないけど待っててね。準備期間に色々やったので、復帰したら色んなことたくさんしゃべりたいよ〜。ファンのみんな大好き。一緒に遊びたい!」


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