さくぱん!は、酒を片手にギャンブルに興じる自由で破天荒なVTuberである。


その配信スタイルはとにかくオープン。隠し事がない。他のVTuberでは決して触れられないようなセンシティヴな話題にも容赦なく触れていく。そんなストロングスタイルとスリリングさが癖になり、リピートするリスナーが続出している。「リスナーとの距離感」も特有のものを持っている。距離がとにかく近い。さくぱん!本人が語る通り、「コメントしてくれたおまえがともだち❣️」なのである。


雑談配信はもちろんのこと、ゲーム配信でもギャンブル配信でもとにかくコメントを拾う。拾いづらいコメントも拾う。ゲームをしながらコメントを拾っていると言うより、「コメントと会話しながらゲームをやっている」というニュアンスが近いかもしれない。


そんな雰囲気が好評で、配信のチャット欄は常に大盛況。スロット配信の際は、スロットの回転数以上にコメントが回転しているかもしれない。気軽に入れる居酒屋感覚で参加できるので、気が向いた時にふらっと立ち寄ってコメントを残してみて欲しい。ちょい飲みのつもりが、いつの間にか泥酔していること請け合いだ。


本稿執筆に辺り、さくぱん!に直接取材を行った筆者。取材前は「どんな破天荒でヤベーやつが出てくるのだろう…」とドキドキしていたが、実際に話しを聞くうちに「あれ、凄くちゃんとしているぞ?」と良い意味での驚きを覚えた。後述する「作品への徹底的な拘り」もその一つ。


そして何より、対話する上で相手への思いやりや自然な配慮/気遣いを端々に感じさせてくれるのである。そんな人間性が配信にも出ており、自由で破天荒では有るが荒れた配信になり辛いのがとても素晴らしい。何でもありではあるが、何をやってもいいとはならないのである。


それも「コメントしてくれる友達」に対する彼女なりの思いやりがしっかり伝わっており、個人個人が判断力を保ったまま自由に参加しているからかもしれない。数ある彼女の魅力の中でも、これこそが多くのリスナーに愛される理由ではないかと筆者は思っている。




1. ド屑【cover】



なきその大人気曲をさくぱん!が歌ったカバー動画。歌のイメージがあまり無いさくぱん!だが、良い意味で期待を大裏切りしてくれる作品となっている。


「記念企画でとりあえず歌ってみました〜」といった空気は微塵もない。「やるからには徹底的にやる性分」だという彼女らしく、歌の表現、テイク選択、ミックス、MVなど細部まで徹頭徹尾拘りを感じさせてくれる「作品」となっている。


やはり最大の注目点はその声。起伏の有る表情豊かな歌声がとても心地よく、聞き手の心を揺さぶってくれる。歌詞の内容とリンクして感情の針が触れるかのように変化する声色がとても素晴らしく、最後の「おねがい」を連呼するパートへ向かって右肩上がりに昂って行くかのような表現が最高にエモーショナル。


是非歌詞を見て感情移入しながら聴いてみて欲しい。



2. アイドル【歌ってみた】



社会現象を巻き起こしたYOASOBIの大ヒット曲をカバーした動画。前述の「ド屑」とはまた違ったさくぱん!の魅力が炸裂した作品となっている。


声の抜き置きの使い分けが見事で、曲が持つ魅力をしっかり表現してい。原曲ファンにも自信を持ってオススメできる。「最も苦戦した」というラップ部分も歯切れの良いクールな仕上がりとなっており、大きな聞き所だ。


過去作品において、不慣れな歌に苦戦し平坦な表現になってしまったことを反省し、本曲以降は専門家のボーカルディレクションを受けながらレコーディングに挑んでいるという彼女。これをキッカケに「歌の楽しさを知った」とのことで、今後の作品リリースも非常に楽しみである。


3. 年越しスロ配信!【実機配信 /スマスロからくりサーカス / 設定6】



彼女の自宅にあるという実機スロット台を用いた年越し配信。年越しの瞬間に当選判定を行い、おみくじ代わりに運試ししようという内容である。


前述の歌2作品がさくぱん!の意外性を体験できる動画なのに対し、この作品はイメージ通りの彼女らしさをたっぷり堪能できる配信だ。どんな結果が出たかは、実際に配信を見て確認していただければと思う。


企画内容もとても面白いが、前後のトークもとても楽しい。年末一層セールのごとく、あけすけでギリギリな話題が大放出されている。さくぱん!がどんなVTuberなのかよく分かる配信となっているので、少しでも気になった方はぜひ友達と一緒に年越しする気分で楽しんで欲しい。




最後に、さくぱん!に今後の活動の展望を語ってもらった。

「元々『配信活動してる!』って意識がなくて、やりたいことをやりたい時にやりたいようにやってるだけなんですよね。なので、今後もそのスタンスは継続して、友達を増やしていきたいです!目新しいことでいうと、3Dメタバースステージでのライブ配信はやってみたいですね。そこで歌えるようなオリジナルソングも制作してみたいな〜とは考えてます!」

自由な活動を継続しながらも、新たな作品やステージ作りにも挑戦していきたいというさくぱん!。彼女が次にどんな拘りを見せてくれるのか、今から楽しみである。本稿でさくぱん!に興味を持った方は、軽い気持ちで彼女の配信に遊びに行ってみて欲しい。その日からあなたもさくぱん!の友達だ。